予防歯科

しっかりと予防することは、患者様ご自身のためになります。

予防歯科の父アクセルソン博士が行った30年間という長期に渡る研究により、しっかりとした予防を行えば結果97.7%の確率で歯が守られ、残すことができることがわかりました。
その方法とは、ただ単にメンテナンスをすればよいのではなく、PMTC(リスク部位を専用の器具を使用してのクリーニングすること)で歯が守られるのです。

>>PMTCについて 歯は、一生の財産

メンテナンスと残存歯のイメージ

歯科先進国では「予防のために歯医者に行く」が常識

歯科先進国と言われる欧米諸国は、歯科医院に定期的に行き、ご自身の歯の健康を守ることが広く浸透しています。
その結果、高齢者になっても多くのご自身の歯を残すことにつながっているのです。
下の表は、各国の定期検診の習慣の割合と、80歳時点での歯の残存数を表しています。

定期検診の習慣と80歳時点での残存歯数

  スウェーデン 
スウェーデン
アメリカ 
アメリカ
イギリス 
イギリス
日本 
日本

定期検診の習慣が
ある人の割合

90% 80% 70% 2%

80歳時点での
歯の残存数

20本 17本 15本 8本

定期的に歯科医院に通っている人の割合は、スウェーデンは90%と非常に高いのに対して、日本はたった2%です。
この違いは80歳時点での歯の残存数の差となってはっきりと現れています。
年齢を重ねてもご自身の歯で美味しい食事や会話を楽しむために、予防意識を高めましょう。

予防歯科について

日本人は50歳代後半から2人に1人が部分入れ歯を、75歳以上では約60%が総入れ歯を使用しています。しかし、北欧の国では80歳でも入れ歯を することなく元気な高齢者がたくさんいます。どうして、こんな差が出てしまったのでしょうか?その違いを調べてみると、「むし歯になってから歯医者へ行っ た」のか「むし歯にならないために歯医者へ行ったのか」の違いだということが解っています。

国立くぼむら歯科クリニックでは、患者さん一人ひとりにあった予防プログラムを提供していますので、一度、ご相談ください。

はじめに

治療ではなく『予防』の重要性

「歯が悪くなったから歯医者に行く」「歯が抜けてしまったから診てもらおう」ではなく、そもそも歯が悪くなる前に定期的なメンテナンスをすること、それが予防歯科という考えです。

歯が悪くなってから治療を行うと、患者さんの歯はもちろん、時間的にも経済的にも負担がかかってしまいます。そのような負担がかからないように、定期的な『予防』が重要になってきます。

定期的なケアをした方が医療費が抑えられる?

国の医療費の観点からも、定期的なケアを施す方が支出を抑えられるという試算が出ています。

トヨタ自動車の関連企業の社員や家族らでつくる同組合は、同歯科医師会の協力を得て、組合員5万2600人の2009年度の医療費と受診歴のデータを分析。歯科医院で年に2回以上、定期的に歯石除去などをしている602人を抽出し、総医療費を調べた。

その結果、定期受診の人は48歳までは総医療費が平均より高かったが、49歳を過ぎると平均を下回る分布傾向となった。65歳になると平均が35万円に対し、定期受診の人は20万円以下とその差は広がっていく。

組合は「歯が悪いと食事が偏ったり、歯並びが悪くなったりする。それが糖尿病や肩凝り、骨粗しょう症を招き、体全体の健康に影響する」と分析。48歳までは歯科の定期健診費用で年2万円ほどが加わり、医療費が平均より増えるものの、その後は医療費が抑えられるため、歯科の費用を含めても「生涯医療費」は平均を下回ると結論づけた。

(中日新聞 2011年3月28日付け)
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20110328154440669

このように、定期的なケアによって生涯を通じての医療費が抑制されるという結果が出ております。
特に、歯は一度失ってしまうと元には戻りません。医療費の面から言っても、定期的なケアが重要だと言えます。

 

虫歯になりやすい人

世の中には虫歯になりやすい人となりにくい人がいます。虫歯になりやすい人となりにくい人では、予防方法が違いますので、自分がどのタイプなのかを知って予防することが大切です。

>>虫歯治療について

虫歯のなりやすさを左右する要因

  • 虫歯菌の量
  • 唾液の量
  • 唾液の質
  • 歯の質
  • 食習慣
  • 歯並び
  • 年齢

バイオフィルム

歯周病はバイオフィルムによる感染症だった

バイオフィルムのイメージ

歯周病の原因であるプラーク(歯垢)も、多種の細菌同士が寄り集まってスクラムを組んだ塊であるバイオフィルムの一種としてとらえるようになってきました。

バイオフィルム感染症への対策

強固に付着したバイオフィルムを除去するためには、ホームケアだけでは難しく、それらを排除するためには専門家による清掃(PMTC)がもっとも有効であるといわれています。

>>歯周病治療について

虫歯・歯周病を予防するには

歯ブラシと歯間ブラシ

口の中の清潔を保つことです。正しい歯磨きを毎日行いましょう。
しかし歯ブラシだけでは、歯と歯のよごれを完璧に取り除くことが非常に困難です。歯間ブラシやデンタルフロスなどを使うのが効果的です。
定期的に歯科健診を受けることも予防の大切な手段の一つです。普段のブラッシングではとれない歯の汚れや、歯石を取り、口の中の健康をチェックします。
そのほかにも虫歯の予防法として、フッ素を使用して歯質を強化する方法もあります。また、食習慣や生活習慣も重要です。

予防歯科の治療法

PMTC(プロフェッショナルクリーニング)

PMTCとはProfessional Mechanical Tooth Cleaningの略で、訳すと「専門家による機械を使った歯の清掃」という意味になります。
様々な専用機器を使用して、虫歯や歯周病の最大の原因である「バイオフィルム(歯の表面についた細菌のかたまり)」や歯垢・歯石を除去していきます。あくまで歯のクリーニングなので、ドリルなどで歯を削ることはありません。
普段の歯磨きでは除去できない汚れが取れますので、爽快感を味わうことができます。バイオフィルムは約3ヶ月で再生されると言われていますので、定期的なPMTCをお勧めしています。

>>PMTCについて

PMTC症例

治療前 治療後
メタルボンド ジルコニアセラミック

タバコやヤニによる汚れをプロフェッショナルクリーニングによりきれいにした事例。
プロフェッショナルクリーニングとは、歯の表面の汚れや、タバコのヤニ、お茶やコーヒーなどによる着色に対して、専用の機械でクリーニングすることで、元々の歯の色に近づける方法です。

スケーリング症例

治療前 治療後

歯周病の初期治療です。菌の塊である歯石を取り除きます。赤く腫れて炎症を起こしていた歯ぐきも落ち着きました。

フッ素塗布

医院で歯に高濃度のフッ素を塗布します。
フッ素を定期的に歯の表面に塗布する事で、むし歯になりにくい歯を育てていきます。
十分な効果を得るためには、年に3~4回のフッ素塗布を行うことが理想です。

フッ素の3つの効果

【1】歯質の強化する

歯のエナメル質を硬くすることで、虫歯の原因菌が作り出す酸に強い歯を作っていきます。

【2】再石灰化作用を助ける

酸で溶けてしまった虫歯になりかけた部分をもとに戻す、唾液の再石灰化作用を助けます。

【3】虫歯原因菌の活動を抑える

虫歯の原因菌の活動を抑えて、歯を溶かす酸が作り出される量を抑制することができます。

家庭でできる予防

毎日のブラッシングをしっかりと行えば、虫歯や歯周病の発生率を下げることができます。
ただし、歯ブラシだけでは歯間の汚れを取ることが難しいので、歯間ブラシやデンタルフロスを使ってしっかりと汚れを除去することが理想です。
ご希望があれば、正しいブラッシング方法の指導も行っております。

歯磨きについて

歯の正しい磨き方

プラークを常に取り除いていれば虫歯にはなりません。実際は、きれいに磨きましたという人でも約85%しか磨かれていません。
きちんと磨いているつもりでも、磨き残しは結構あるものです。“なくて七癖・・・”といわれるように人それぞれにも欠点があります。これは歯科衛生士に診てもらえばすぐに分かります。

歯を磨くタイミング

歯を磨く目的の1つとして【プラークをとる】というのがあります。虫歯の原因であるプラークが歯に付着するのに約8時間、プラークが固まり、歯ブラシでとれなくなるのに約24時間かかります。なので1日1回徹底的に歯磨きを行えば虫歯は防げます。
しかし1回の歯磨きでプラークを完全に取り去るのは難しいので歯磨きは毎食後行ってください。
就寝前は必ず磨くようにしましょう。
昼間は唾液の分泌がさかんに行われ、細菌の繁殖をおさえます。しかし、寝ているときには唾液の分泌量が著しく低下し、細菌の活動が活発になるからです。

口腔内pH値の変動

口腔内pH値の変動

脱灰(だっかい)

食事をすると、プラークに存在する細菌が酸を出すので、口腔内は酸性に変化します。

再石灰化

唾液の働きにより、pH値はしだいに中性に戻ります。その際、溶けだした成分が歯に再沈着する事です。

歯ブラシの選び方

歯磨き

歯ブラシはあまり大きくないものを

ブラシの植毛部が大きすぎると、口の中で細かく動かせません。

毛質はナイロン製が一般的

ナイロン製は品質にムラがなく、衛生的です。

硬さに気をつけて

プラークをとるには、硬めのものがよいのですが、歯に炎症が起きているときは柔らかめのものにし、治りぐあいによって徐々に硬いものに替えていきます。